サブスクリプション時代におけるGrowth hackerとしてのCustomer Success role (1/)
サブスクリプション系の本で良著に出会いました。
カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則
https://amzn.to/2JAZV47
ちょうど日本においても、カスタマーサクセス職の盛り上がりを感じていたところにもってこいな良著でした。本書は、カスターマーサクセスの定番教科書になろうとする気概が感じられますし内容も良いのですが、如何せん読みづらいです。もうちょっといい編集者がついていればなあと思ってしまいました。ですので、重要な点をまとめました。これから何回かに分けて投稿していきたいと思います。
カスタマーサクセス職とはなにか
本書では「顧客が自社製品の価値を最大限に引き出せるように手助けする人物」と定義されています。やはりフロント職であるというのが最大の特徴ですね。言葉の響きから連想されるイメージとはちょっと違うのです。本書では3点上げられています。
- 収益ドライバー
- 契約更新
- アップセル
要はRevenue getterなのです。ただ営業を始めとする直接的なRevenue getterと違うのは、「顧客への提供価値を高めた結果として心理的ロイヤルティが向上し、最終的に収益があがる 」という点です。先行例としてはSalesforceとappleがあげられています。当然にカスタマーサクセス職がまず狙うKPIはRetention rateです。
カスタマーサクセス職の特徴とは
本書では4点上げられています。やはりクライアントのビジネスを成長させることを、自社プロダクトでアグレッシブに攻めていく役割ですね。理想像を先に掲げることによって、課題を「前もって」生み出して、解決していくタイプの役割です。
- 能動的
- 成功重視型
- 分析中心
- 予測性
カスタマーサクセス職がなぜ重要か
カスタマーサクセス職とは「顧客が自社製品の価値を最大限に引き出せるように手助けする人物」ということでした。これが昨今なぜ重要になるかというと、サブスクリプションエコノミーの時代だからですね。当然にサービスを購入してもらったというのはただの開始点に過ぎないのです。収益面はサービスの使用継続によってもたらされるのです。主な理由として5点想定されています。
- チャーンの減少と管理
SAASモデルで一度離れた顧客が戻ってくるのはなかなか難しいですね。 - 既存顧客の契約金額増
要はクロスセル、アップセルですね。 - カスタマーエクスペリエンスと顧客満足度の向上
Digitalの基本というか、ビジネスの基本です。 - クラウドの成熟化
最近ぼくが注目しているSlackなどはcollaboration hubとしての位置付けで、各Big playerのサービスをユーザーが使用出来る様になっており、うまいポジショニングだなあと思います。ユーザーのコミュニケーションという部分を押さえているので、他のサービスの提供価値も取り込んでしまっています。 - SAASモデルの収益構造とそこからもたらされた顧客の期待値の変化
SAASはそもそも簡単に使用を止められてしまっては収益があがらない構造なのですね。サービスの切り替え抵抗の少ないビジネスモデルなので顧客は気軽に試し買いが出来、短期的な価格設定(月額や年額など)や、細切れ利用(分単位、CPUサイクル単位、ユーザー単位、クリック単位など)や展開の簡易化(クラウドやモバイルなど)が生まれています。同時に、顧客は試し買いのみでそのまま立ち去ることもできるようになりました。選択権を手にした顧客は、自分が望んだ成果や成功をもたらしてくれるベンダーを選びます。そしてついには、顧客はベンダーが成功に力を注いでくれるのだと期待するようになったということですね。なんだかとても顧客が幸福な時代でいいことですね。
それにしてもこの表が印象的です。分かってはいましたが、所有権ということを手放すだけで、ユーザーはこれだけのメリットを得られるのですね。
カスタマーサクセスとして、クライアントのビジネスをいかに成長させるか
クライアント内部でビジネスバリューを生み出しているCore interactionを特定して、それを促進するイメージでしょうか。こういうことを考えるとやはりSlackはイケてるなあと思ってしまいます。SlackのCollaboration habという位置づけは、Communication habということを意味していますからね。
カスタマーサクセスとして、クライアントのビジネスをいかに成長させるか
10点があげられています。次回以降の投稿で詳細を解説していきたいと思います。
次回以降続きます。
原則①正しい顧客に販売しよう
原則②顧客とベンダーは何もしなければ離れる
原則③顧客が期待しているのは大成功だ
原則④絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する
原則⑤ロイヤルティの構築に、もう個人間の関係はいらない
原則⑥本当に拡張可能な差別化要因は製品だけだ
原則⑦タイムトゥバリューの向上にとことん取り組もう
原則⑧顧客の指標を深く理解する
原則⑨ハードデータの指標でカスタマーサクセスを進める
原則⑩トップダウンかつ全社レベルで取り組む
次回以降続きます。