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デジタルについてトッププロファーム勤務の藤谷が書き綴ります。

やっぱりクルーグマンの本は最高に面白い - 書評 クルーグマン ミクロ経済学(第2版)

先日、この記事を読んで久しぶりにクルーグマンのことを思い出しました。

ノーベル経済学賞クルーグマン教授「ビットコインは金より有用」
https://jp.cointelegraph.com/news/paul-krugman-said-btc-has-more-utility-than-gold

記事の中にもある通り、クルーグマンは2013年にはBTCに対してかなり否定的な見解をしていたので、意見が転換しているわけです。ノーベル賞受賞者でも、現在のテクノロジーの進展の前には意見を変えざるを得ないわけです。が、これにはぼくは好感を持っています。というのは「いまのランドスケープで大御所が意見がまったく変わらない方がマジで危険」だからです。

Bitcoin Is Evil
https://krugman.blogs.nytimes.com/2013/12/28/bitcoin-is-evil/

ところでクルーグマンと言えばミクロ/マクロ経済学の本です。




クルーグマンは経済がどうとうかというよりも、そもそも読んでいて本当に面白い文章を書かれます。帯に世界が見えてくるアカデミックエンターテイメントと結構な謳い文句ありますが、なかなか同意出来てしまいます。真理を孤高に目指すのも良いですが、そういったことは論文でやっていただいて、やっぱり専門書はこういう他者貢献性が高いことが望ましいですよね。ぼくは「分厚い本」には、分厚いことの理由・必然性を強烈に求めますが、この本は分厚くてもスラスラ読めてしまえます。良質な肉厚ステーキみたいな本で非常に有用です。

Algorithm Introductionの様な本は最初から数年かけて何回も読みながら完全に理解することを目指しますが、クルーグマンの本ってたまに一気に読んでしまって、その度に新しい自分なりの発見があるみたいな読み方です。とても楽しく読めました。そして役に立ちます。いや、これはあらためてかなり稀有な本です。