Digital, digital and digital

デジタルについてトッププロファーム勤務の藤谷が書き綴ります。

時系列分析の基礎スキル固めの為の名著5冊

諸事情でこれを一気に読み返す。しかしぼくはホントにファームの人間なんだろうかという気がしてくるけど。マーケットが神であり、クライアントと目の前のプロジェクトでのニーズがすべてだからな。なんか代理店の時に頼りになった制作会社の方達がいたがごとく、頼りになるData scientistな方達がいればなーと思うけど、会社間の関係性が違うからな。

    1. 現場ですぐ使える時系列データ分析 ~データサイエンティストのための基礎知識
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    1. 経済・ファイナンスデータの計量時系列分析 (統計ライブラリー)

    2. 時系列解析〈上〉定常過程編
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    3. 時系列解析〈下〉非定常/応用定常過程編
      https://amzn.to/2xLEira

    4. 基礎からわかる時系列分析 ―Rで実践するカルマンフィルタ・MCMC・粒子フィルター (Data Science Library)
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ま、これまで独自のプロジェクトをつくりあげてきたが如く、諸々の体制自体も自分でつくってしまうか。やっぱり信頼しあってガンガン成果をだしていく代理店と制作会社のタッグみたいのがぼくの根底にあるんだなと最近よく思う。

統計 - それは誰もが見逃してしまいがちなサブスキルの参謀 (2/)

引き続き数学スキル、特に統計について書いていきます。サブスキルの参謀ですね。

ところでなぜ数学、特に統計を勉強するかについて再確認します。役に立つからです。統計学とは「
数字データというものを、どのように分析し、どのような判断を下したらよいかを論ずる学問だからです。大凡、社会人たるもの数字データは扱います。だから本来みんなに役立つというのが大前提です。 power pointやExcelは放っておいても皆勉強するのに、数学がそうならないのは前者が非常に目立つのに対して後者は効果が見えにくい上にとっつきづらいからのように思います。が、数学は学習するメリットが非常に高い領域です

数学(特に統計)を学習するメリット

  1. 市場価値が高い、かつスキル障壁が高い
    要はぼくは「数学が出来るとホント得だな」と思っているので、人様に勧めたくなるんですね。思っているというか、感じることが多いというのが正確な表現です。

    単純にヘッドハンターからの諸々の話を聞いてるだけでも、
    数学スキルへの需要を本当に感じますrequired skillの中に数学関連のスキルが入っているかないかだけで露骨に待遇面が変わっています。ただここが重要なのですが、「数学だけ」だと駄目なんですね。要は理想系はStrategy roleが出来て、自社内の組織構築も出来て、数学スキルがある方なんですね。最初の2項目は出来る方は結構多い気がしますが、3項目揃ってる方はなかなかいないんですね。

    前回の記事にも書きましたが、ぼくは数学の勉強を1からやり直すみたいなことがトレンドだなと思っています(しかもTop engineerほどそういうことをしています)。これはMLみたいなこともそりゃそうなんですが、単にヘッドハンターみたいな諸々のジョブマーケットを見るに、
    これからは数学スキルだなと思うことが多いからじゃないんでしょうか。

    しかもスキル障壁が高い気がします。統計でも、そもそも微積線形代数は必要になります。社会人がゼロからやろうとすると結構なハードルです。もともとある程度わかる方もアドバンテージがありますが、本当に強いのは「本気になった方」ですね

    あと数学は嫌いな方は本当に嫌いです。なんだか昆虫が嫌いな女性がたぶん一生昆虫が嫌いなんだろうなみたいな感じがします。なので、やってもいいかなと思えるくらいな時点で相当にアドバンテージです。数式の美しさを感じられるなら、もう十分なんじゃないですかね。
  2. 何事も統計モデルで捉えられる・瞬間的に目の前の事象をモデル化出来る
    これは隠れた非常に重要な価値です。よくコンサルの方が全体の構造を踏まえて話すとかそういうことをよく言いますが、それはもう「ほとんどみんな出来ること」なのであまり価値はありません。価値とは常に需要を伴った希少性です。構造とかデータに対して統計の示唆を出す方ってホントいないんですよね。

    ここも価値のボリュームゾーンの問題ですが、ボリュームゾーンは外部のData scientistに数千万以上のコストで発注するようなデータ分析プロジェクトではなくて、現場の社員の方が日々の業務でDSスキルを発揮するというところにありそうです。やはり統計は
    数字データというものを、どのように分析し、どのような判断を下したらよいかを論ずる学問」ということを常に意識すべきですね。本来みんなの為のものなのです。要はここなのです。逆にData scientistとして価値を出そうとすると求められるスキルレベルが突然跳ね上がります。明らかにボリュームゾーンはそこにはありません。なんとなくですけどexploratoryみたいなツールを使いこなせるくらいのイメージの様に思います。

    余談ですが、Data Visualizationのスキルもあると評価される場所では、本当に評価されます。要は統計モデルでこうだな、、Tableouでこんな感じでダッシュボードつくればいいな、、とか即時にイメージ出来るととてもイケてるのです
  3. 数式が「読める」ということの価値が非常にあがっている
    難解なものというよりも、大学学部でやるような基礎領域のものを読めるだけで相当に価値があります。なんとなくプログラミングコードが読めるだけというのにも価値があるのと似ている気がします

統計を学習する際の注意点

数学を解くことそのものに対する感覚

  • 特定の領域に限らない、そもそも数学を解くことってどういう感覚でやっていくのかということを掴んでおくと俄然理解が早くなります。以下の書籍が参考になります


数学に感動する頭をつくる
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数学オリンピック出場チームをコーチしていた栗田先生の著書です。大学への数学の栗田先生といった方がわかる方も多いかと思います。収録されている"数感を伸ばす練習問題10"が非常にいいです。


大人のための数学勉強法

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この本で紹介されているこの7つの数学の解き方の方針は凄くいいですね。
こういうところをちゃんと言語化してくれていることは読み手に貢献性が高いです

  1. 字数を下げる
  2. 周期性を見つける対称性を見つける
  3. 逆を考える
  4. 相対化する
  5. 帰納的に実験する
  6. 視覚化する
  7. 同値変形を意識する
長くなってしまったので続きます


過去記事
統計 - それは誰もが見逃してしまいがちなサブスキルの参謀 (1/)

https://touya-fujitani.blogspot.com/2020/04/stascticsdatascience.html
関連記事:数多くの統計系のMOOCSの中でこれがベストだと思っています
Statistics and Data Science from MIT - Probability - The Science of Uncertainty and Data (10/)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2018/12/statistics-and-data-science-from-mit.html?q=mit

英語学習 - TOEIC満点までの英単語学習はこの5冊で十分過ぎる

TOEIC満点までの英単語学習

英単語を学習する必要はないということを声高らかに言う人が結構いるけど、ぼくは英単語は勉強すべきだと考えています。




そもそもセミネイティブ程度まで英語力を高める中で、「英単語を勉強するべきタイミング」というのがきます。感覚的にはTOEICを800点超える時と、英語でガンガン仕事をする様になって3年目くらいのタイミングでしょうか。

ちなみに単語帳については、海外の本は勧めません。装丁・紙の品質が悪いからです。単語帳においてこの2点は重視せざるを得ません

ところで実際のビジネスの現場で使う英単語を大事なのは、目的に最適化された本を散らすことです。TOEICTOEFL、IELTSの英単語をすべておさえる方が望ましいです。要は実際のビジネスの現場では、TOEIC向けの英単語だけだと不十分ということです。


TOEIC

1. 世界一わかりやすい TOEICテストの英単語
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ぼくは常々思っているのですが、関正生さんの本は実は単語帳がいいのではないでしょうか。学習者を退屈にさせない語り口や作りが非常に巧みだなといつも関心させられます。そこが一番活きるのが単語帳の様に思います。一方、文法や読解については、ちょっと過度な抽象化が心配になってしまうと言うのが正直なところです(ただ「英語が嫌いで仕方ない人」のファーストバリアを取り除くという点ではぶっちぎりですね。

2. TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)
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TOEICに特化した英単語対策の決定版になりつつありますね。「試験に出る単語だけ抽出する」と言う役割に徹底しているのは、とても好感が持てます。

 

3. 聞いて覚える英単語 キクタン TOEIC Test Score 990

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何の変哲もない単語集なんですけれど、ぼくは非常に好感を持っているというか役に立つと思っています。こういう手堅い1冊をちゃんとやるということは非常に重要ですし、遠回りの様で一番の近道です。

基本的にTOEIC満点の為の英単語はこの3冊で十分です。物足りない方はキクタンの990以下のスコアのものをやってもいいかもしれませんけど、情報量は絞った上でのその範囲を完璧にするアプローチの方が良さげですね。


TOEFL

有名なこの本一択ですね。時の選別に打ち勝っていると言うのは非常に重要なことで、良著たる理由があるのです。
TOEFLテスト英単語3800 4訂版 (TOEFL(R)大戦略)
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IELTS

これもこの本一択でしょう。選ばれている単語も手堅くて非常に好感が持てますし、実際に有用です。ぼくは試験としても、IELTSが英語の試験として一番優れているんじゃないかと思っています。そしてこの単語帳も載っている単語が非常に有用だなと思っています。



そう思うと広大に思える英単語の世界もそれ程広い世界ではないのです。
これも簿記同様に、人生の早いタイミングできっちりやりきってしまった方が得なのです。
 

簿記 - それは馬鹿にする誰もが甚大な損をするサブスキルの大臣 (1/)
http://touya-fujitani.blogspot.com/2018/08/blog-post_8.html

Digital Product Management certification from Boston universityを取得しました

EdxでBoston universityのDigital Product Managementを取得してみたので、何回かに分けて内容を紹介します。


Digital Product Management Boston university
https://www.edx.org/micromasters/digital-product-management


Boston universityは大体世界ランクの100位に入るくらいなので、超一流というわけではないですが、社会人教育に定評がありこのコースからもそれはうかがえました。
 

Boston University | Top Universities

https://www.topuniversities.com/universities/boston-university

費用は$200 per courseなので、すべて取りきると$1,000。大体11万円くらい。やはりMOOCSは圧倒的にコスト優位性が高いと思わざるを得ないですね。このコースは無料版があるのでそちらでもいいかと思いますけど、有料版の方だと有益な論文を色々もらえます。
 
こういうのは、学習効果と実益に分けて評価するのが大事なんだけれど大枠では下記
 
学習効果
 
  • ぼくは「体系的に学習する」ということを非常に重要視するタイプなので、その期待値に応えてくれた点が最も評価すべきポイントでした。
  • 実務で役に立つ、ということを受講者のレベル(要はMIT, Stanfordレベルではない)をある程度意識しつつ、追求しているような内容で好感が持てました。優良な私大って感じだなあと。
  • Product Management with Lean, Agile and System Design Thinkingがかなりの重量級です。これはちょっと実務経験がないと対応出来ないかもしれない。Product designをしっかりとしたdevelopment flow/methodologyに基づいて進めていくスキルが身に付きます。
  • Platform Strategy for Businessは採用している教科書も含めて大変素晴らしい内容でした。Platform Revolutionは、ひょっとしたらはじめて読んだ「まともなDigital strategyの本」かもしれないと思っています

                                    
  • Driving Digital Innovation through Experimentationは、そもそもDigital orientedな企業は必ず行わなければいけないような内容なので実務で非常に役に立つ領域です。こういう領域を体系的にまとめてくれるのは大変ぼく好みです。
  • Business Analytics for Data-Driven Decision Makingは、機械学習のさわりだけといった感じでしょうか。Microsoft Azuleを使ったりします。このコースの内容はちょっとした研修レベルかといった感じです
 
実益
  • 実益は、特にないんじゃないかなというのが感想です。やはりちょっと大学ランク的な箔が足りない感は否めません。「そもそもBoston universityって遊び人がいく大学だよ」と同僚に言われて、へーそうなんだと思ってしまった次第です。ただ学習効果が非常に手ごたえがあったので、満足です。
これ聞きたい!というのがあれば、おっしゃていただければ今後の記事に反映します。

Product Management with Lean, Agile and System Design Thinkingのcertificationを取得しました (1/4)

EdxでBoston universityのProduct Management with Lean, Agile and System Design ThinkingのCertification取得してみたので、何回かに分けて内容を紹介します。本講義は特に分量が多かったので4回に分けて紹介することを考えています。

 



Product Management with Lean, Agile and System Design Thinking
https://www.edx.org/course/product-management-with-lean-agile-and-system-design-thinking


Boston universityは大体世界ランクの100位に入るくらいなので、超一流というわけではないですが、社会人教育に定評がありこのコースからもそれはうかがえました。
 

Boston University | Top Universities

https://www.topuniversities.com/universities/boston-university

この講義はDigital Product Management MicroMastersのコースの一つです。5コースから成っており、すべて合格するとCertificationが発行されます。MOOCSでよくあるMicro master programですね
*Digital Product Management certification from Boston universityを取得しました
https://touya-fujitani.blogspot.com/2018/08/digital-product-management.html?view=flipcard
  1. Platform Strategy for Business
  2. Product Management with Lean, Agile and System Design Thinking
  3. Strategic Social Media Marketing
  4. Driving Digital Innovation through Experimentation
  5. Business Analytics for Data-Driven Decision Making
費用は$200 per courseなので、すべて取りきると$1,000。大体11万円くらい。やはりMOOCSは圧倒的にコスト優位性が高いと思わざるを得ないですね。このコースは無料版があるのでそちらでもいいかと思いますけど、有料版の方だと有益な論文を色々もらえます。

シラバス
シラバスの内容は下記の通りです。Digital Productのplanning, development, PL managementまで時系列で一通りカバーしたような内容になっています。
  • Product line planning and road mapping alternatives
  • Idea generation, customer need assessment, co-creation, definition and validation of minimal viable product (MVP) and allied set up of requirement documents
  • Alternative approaches for lean, agile and waterfall development, along with the tools for assessing task, project and business risks (and risk mitigation strategies) at scrums or at stage gates.
  • How to launch a product and create a go-to-market strategy to champion your product.
  • Performance Management: how to take ownership of product related profit (or loss) over various life cycle stages; how to track and optimize system performance metrics while organizing social media and third party data towards performance optimization
 

内容
 
こういうのは、学習効果と実益に分けて評価するのが大事なんだけれど大枠では下記
 
学習効果
 
  • ぼくは「体系的に学習する」ということを非常に重要視するタイプなので、その期待値に応えてくれた点が最も評価すべきポイントでした。そもそもDigital Product developmentを体系的にまとめあげた教育資料ってあまりないような気がしますね。
  • そもそも日本のdigital界隈で、例えばTAM, SAM, SOM, LAM,って言われてなんのことか即答出来る方ってそんなにいないんじゃないかなあ。MVPは分かるでしょうけれど、じゃあProttypeとの違いは?と聞かれると体系的に整理された返答がしたいところです。
  • Economy of scale / scopeの概念もいいですね。
  •  レポートが非常に多いです。多くの週末がつぶれていきました。
  • Go to market strategyもカバーしています。そう思うと相当な分量ですね。
 
実益
  • 実益は、特にないんじゃないかなというのが感想です。やはりちょっと大学ランク的な箔が足りない感は否めません。「そもそもBoston universityって遊び人がいく大学だよ」と同僚に言われて、へーそうなんだと思ってしまった次第です。ただ学習効果が非常に手ごたえがあったので、満足です。
これ聞きたい!というのがあれば、おっしゃていただければ今後の記事に反映します。

Digital Product Management certification from Boston universityを取得しました

EdxでBoston universityのDigital Product Managementを取得してみたので、何回かに分けて内容を紹介します。


Digital Product Management Boston university
https://www.edx.org/micromasters/digital-product-management


Boston universityは大体世界ランクの100位に入るくらいなので、超一流というわけではないですが、社会人教育に定評がありこのコースからもそれはうかがえました。
 

Boston University | Top Universities

https://www.topuniversities.com/universities/boston-university

費用は$200 per courseなので、すべて取りきると$1,000。大体11万円くらい。やはりMOOCSは圧倒的にコスト優位性が高いと思わざるを得ないですね。このコースは無料版があるのでそちらでもいいかと思いますけど、有料版の方だと有益な論文を色々もらえます。
 
こういうのは、学習効果と実益に分けて評価するのが大事なんだけれど大枠では下記
 
学習効果
 
  • ぼくは「体系的に学習する」ということを非常に重要視するタイプなので、その期待値に応えてくれた点が最も評価すべきポイントでした。
  • 実務で役に立つ、ということを受講者のレベル(要はMIT, Stanfordレベルではない)をある程度意識しつつ、追求しているような内容で好感が持てました。優良な私大って感じだなあと。
  • Product Management with Lean, Agile and System Design Thinkingがかなりの重量級です。これはちょっと実務経験がないと対応出来ないかもしれない。Product designをしっかりとしたdevelopment flow/methodologyに基づいて進めていくスキルが身に付きます。
  • Platform Strategy for Businessは採用している教科書も含めて大変素晴らしい内容でした。Platform Revolutionは、ひょっとしたらはじめて読んだ「まともなDigital strategyの本」かもしれないと思っています

                                    
  • Driving Digital Innovation through Experimentationは、そもそもDigital orientedな企業は必ず行わなければいけないような内容なので実務で非常に役に立つ領域です。こういう領域を体系的にまとめてくれるのは大変ぼく好みです。
  • Business Analytics for Data-Driven Decision Makingは、機械学習のさわりだけといった感じでしょうか。Microsoft Azuleを使ったりします。このコースの内容はちょっとした研修レベルかといった感じです
 
実益
  • 実益は、特にないんじゃないかなというのが感想です。やはりちょっと大学ランク的な箔が足りない感は否めません。「そもそもBoston universityって遊び人がいく大学だよ」と同僚に言われて、へーそうなんだと思ってしまった次第です。ただ学習効果が非常に手ごたえがあったので、満足です。
これ聞きたい!というのがあれば、おっしゃていただければ今後の記事に反映します。

やっぱりクルーグマンの本は最高に面白い - 書評 クルーグマン ミクロ経済学(第2版)

先日、この記事を読んで久しぶりにクルーグマンのことを思い出しました。

ノーベル経済学賞クルーグマン教授「ビットコインは金より有用」
https://jp.cointelegraph.com/news/paul-krugman-said-btc-has-more-utility-than-gold

記事の中にもある通り、クルーグマンは2013年にはBTCに対してかなり否定的な見解をしていたので、意見が転換しているわけです。ノーベル賞受賞者でも、現在のテクノロジーの進展の前には意見を変えざるを得ないわけです。が、これにはぼくは好感を持っています。というのは「いまのランドスケープで大御所が意見がまったく変わらない方がマジで危険」だからです。

Bitcoin Is Evil
https://krugman.blogs.nytimes.com/2013/12/28/bitcoin-is-evil/

ところでクルーグマンと言えばミクロ/マクロ経済学の本です。




クルーグマンは経済がどうとうかというよりも、そもそも読んでいて本当に面白い文章を書かれます。帯に世界が見えてくるアカデミックエンターテイメントと結構な謳い文句ありますが、なかなか同意出来てしまいます。真理を孤高に目指すのも良いですが、そういったことは論文でやっていただいて、やっぱり専門書はこういう他者貢献性が高いことが望ましいですよね。ぼくは「分厚い本」には、分厚いことの理由・必然性を強烈に求めますが、この本は分厚くてもスラスラ読めてしまえます。良質な肉厚ステーキみたいな本で非常に有用です。

Algorithm Introductionの様な本は最初から数年かけて何回も読みながら完全に理解することを目指しますが、クルーグマンの本ってたまに一気に読んでしまって、その度に新しい自分なりの発見があるみたいな読み方です。とても楽しく読めました。そして役に立ちます。いや、これはあらためてかなり稀有な本です。