統計 - それは誰もが見逃してしまいがちなサブスキルの参謀 (2/)
引き続き数学スキル、特に統計について書いていきます。サブスキルの参謀ですね。
ところでなぜ数学、特に統計を勉強するかについて再確認します。役に立つからです。統計学とは「数字データというものを、どのように分析し、どのような判断を下したらよいかを論ずる学問」だからです。大凡、社会人たるもの数字データは扱います。だから本来みんなに役立つというのが大前提です。 power pointやExcelは放っておいても皆勉強するのに、数学がそうならないのは前者が非常に目立つのに対して後者は効果が見えにくい上にとっつきづらいからのように思います。が、数学は学習するメリットが非常に高い領域です
数学(特に統計)を学習するメリット
- 市場価値が高い、かつスキル障壁が高い
要はぼくは「数学が出来るとホント得だな」と思っているので、人様に勧めたくなるんですね。思っているというか、感じることが多いというのが正確な表現です。
単純にヘッドハンターからの諸々の話を聞いてるだけでも、数学スキルへの需要を本当に感じます。required skillの中に数学関連のスキルが入っているかないかだけで露骨に待遇面が変わっています。ただここが重要なのですが、「数学だけ」だと駄目なんですね。要は理想系はStrategy roleが出来て、自社内の組織構築も出来て、数学スキルがある方なんですね。最初の2項目は出来る方は結構多い気がしますが、3項目揃ってる方はなかなかいないんですね。
前回の記事にも書きましたが、ぼくは数学の勉強を1からやり直すみたいなことがトレンドだなと思っています(しかもTop engineerほどそういうことをしています)。これはMLみたいなこともそりゃそうなんですが、単にヘッドハンターみたいな諸々のジョブマーケットを見るに、これからは数学スキルだなと思うことが多いからじゃないんでしょうか。
しかもスキル障壁が高い気がします。統計でも、そもそも微積と線形代数は必要になります。社会人がゼロからやろうとすると結構なハードルです。もともとある程度わかる方もアドバンテージがありますが、本当に強いのは「本気になった方」ですね
あと数学は嫌いな方は本当に嫌いです。なんだか昆虫が嫌いな女性がたぶん一生昆虫が嫌いなんだろうなみたいな感じがします。なので、やってもいいかなと思えるくらいな時点で相当にアドバンテージです。数式の美しさを感じられるなら、もう十分なんじゃないですかね。 - 何事も統計モデルで捉えられる・瞬間的に目の前の事象をモデル化出来る
これは隠れた非常に重要な価値です。よくコンサルの方が全体の構造を踏まえて話すとかそういうことをよく言いますが、それはもう「ほとんどみんな出来ること」なのであまり価値はありません。価値とは常に需要を伴った希少性です。構造とかデータに対して統計の示唆を出す方ってホントいないんですよね。
ここも価値のボリュームゾーンの問題ですが、ボリュームゾーンは外部のData scientistに数千万以上のコストで発注するようなデータ分析プロジェクトではなくて、現場の社員の方が日々の業務でDSスキルを発揮するというところにありそうです。やはり統計は「数字データというものを、どのように分析し、どのような判断を下したらよいかを論ずる学問」ということを常に意識すべきですね。本来みんなの為のものなのです。要はここなのです。逆にData scientistとして価値を出そうとすると求められるスキルレベルが突然跳ね上がります。明らかにボリュームゾーンはそこにはありません。なんとなくですけどexploratoryみたいなツールを使いこなせるくらいのイメージの様に思います。
余談ですが、Data Visualizationのスキルもあると評価される場所では、本当に評価されます。要は統計モデルでこうだな、、Tableouでこんな感じでダッシュボードつくればいいな、、とか即時にイメージ出来るととてもイケてるのです - 数式が「読める」ということの価値が非常にあがっている
難解なものというよりも、大学学部でやるような基礎領域のものを読めるだけで相当に価値があります。なんとなくプログラミングコードが読めるだけというのにも価値があるのと似ている気がします
統計を学習する際の注意点
- 微積・線形代数が前提として必要になる
あまりアナウンスされないように思いますが、統計を学習する際には微積・線形代数が前提条件として必要になります。ここをすっ飛ばすと余計に時間がかかります。高校数学の復習には白チャート、大学課程を学ぶにはマセマ、チャート式シリーズ 大学教養がよいです
数学を解くことそのものに対する感覚
- 特定の領域に限らない、そもそも数学を解くことってどういう感覚でやっていくのかということを掴んでおくと俄然理解が早くなります。以下の書籍が参考になります
数学に感動する頭をつくる
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数学オリンピック出場チームをコーチしていた栗田先生の著書です。大学への数学の栗田先生といった方がわかる方も多いかと思います。収録されている"数感を伸ばす練習問題10"が非常にいいです。
大人のための数学勉強法
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この本で紹介されているこの7つの数学の解き方の方針は凄くいいですね。こういうところをちゃんと言語化してくれていることは読み手に貢献性が高いです
- 字数を下げる
- 周期性を見つける対称性を見つける
- 逆を考える
- 相対化する
- 帰納的に実験する
- 視覚化する
- 同値変形を意識する
長くなってしまったので続きます
過去記事
統計 - それは誰もが見逃してしまいがちなサブスキルの参謀 (1/)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2020/04/stascticsdatascience.html
過去記事
統計 - それは誰もが見逃してしまいがちなサブスキルの参謀 (1/)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2020/04/stascticsdatascience.html
関連記事:数多くの統計系のMOOCSの中でこれがベストだと思っています
Statistics and Data Science from MIT - Probability - The Science of Uncertainty and Data (10/)https://touya-fujitani.blogspot.com/2018/12/statistics-and-data-science-from-mit.html?q=mit
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