Digital, digital and digital

デジタルについてトッププロファーム勤務の藤谷が書き綴ります。

企業戦略論 Jay B Barney - 現場の実務家への最良の戦略書 (1/X)

最近戦略業務ばかりしています。というか、来年の前半戦くらいまで戦略業務につくことになりそうです。なので本当の基礎の基礎からやり直しています。「速く、精度が高く、(出来れば)疲れない」状態で諸々を進められないだろうかというのが思うところです。なんとなく昔に英文読解について取ったアプローチと似ています
 
そもそもぼくに求められる戦略スキルも2~3ヶ月でなんらかの戦略パッケージをつくるというよりは、1日でアプローチを策定するとか、そもそも適切瞬間瞬間で戦略判断をするとかそういったものの方が多いです。部下の子からも「戦略ファームに入らずに、戦略スキルを学びたい」という要望をいつも受けますし、それに対応すると本当に喜びます。なので基礎力の見直しを進めています。それにしても彼らの裏側にあるのは、「戦略ファームみたいな労働環境が劣悪で、給与水準も低い職場には行きたくない」というニーズなので、本当に時代は変わったなと思います
 

なぜか日本では流行らない戦略の名著

 
ところで、戦略の本というのは本当に様々なものが出版されますし名著も多いのですが、過去に自分が読んできた多くの本の中で、J Barneyの3部作が本当にいいな思う様になりました。やっぱり、多くの戦略関連の本が「感心はするんだけど、無駄に難解だったり、なんだかモヤっとして実務に役立つ感じがしない」中で実務に役立ちます。


企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続
https://amzn.to/33OAjdt

企業戦略論【中】事業戦略編 競争優位の構築と持続
https://amzn.to/3gcGz3E

企業戦略論【下】全社戦略編 競争優位の構築と持続
https://amzn.to/37BOHHg

 
そして、これまた日本ではあまり存在感がありません。日本の出版業界はマーケティング過多なので、良書が読書まで届かないことが多いのは本当に気になります。ぼくがいいなと思う一番大きな理由は、「実務家に役に立つ」点です。そもそもそれを目的として書かれています。戦略の本を読む際に、アカデミックな目的で読むビジネスマンってそれほどいらっしゃらないと思います。どちらかというと、分かりやすい形で実務に貢献するスキルを獲得したいという方がニーズは高いんじゃないでしょうか。で、そう言ったニーズを狙い撃ちした様な浅薄なビジネス本が乱立しているわけですが、天下のJ Barneyがこんなに分かりやすくて実務家向けの本をガッツリ出してくれているので使わない手はないと思います。大学受験の参考書並に文章が読みやすいです。

なぜ現場の実務家に役に立つのか

本書がなぜ実務家に役に立つかというと、以下の3点です
  • 戦略というものを構成する各要素が最小単位で非常に良質な記載でまとまっている
  • 戦略の各領域・理論が網羅的にカバーされている、Barneyの理論だけ記載されているわけではない。『良い戦略・悪い戦略』で日本でもすっかり有名になったRichard Rumeltもカバーされています。RumeltがRBVの一派なので、当然と言えば当然ですが
    関連記事
    戦略再考 - Tech firm/事業会社における戦略業務 
    http://touya-fujitani.blogspot.com/2020/09/strategy.digital.html?q=%E6%88%A6%E7%95%A5

  • 上記2点により、実務に置いて戦略の各構成要素を自分で組み合わせて戦略構築が出来る様になる。これは当たり前の様でいて、大変貴重です。よくMETIなどが公開しているファームの資料で戦略の勉強をしようとする方がいらっしゃいますが、出来上がった最終形だけみても構成要素・作成過程が分からない為、同じものを作成出来る様になるのはあまりならないというか、そもそも練習方法として筋が悪いです。MECEがどうとか、ロジックツリーがどうとかいうアプローチも「それは使うけどさ、、、」みたいな粋を出ないと思ってしまいます
元々エッセンスをまとめた本なのですが、そこのさらにエッセンスの部分を抽出していきたいと思います。
 

戦略の定義・策定の基本構造

 
まずは、どんな戦略書でも気になる戦略の定義からですね。なぜ戦略の定義が気になるかというと、一般的に認知された戦略の定義というものは存在しないからです。その上、定義されたものがその後の論のすべての前提となるので、著者の腕が試されるというかその本自体読むべきかどうか大体ここで判断出来ます(そもそも天下のJay Barneyに対して不遜極まりないですが)

--
戦略の定義:いかに競争に成功するか、ということに関して一企業が持つ理論
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競争に成功するともたらされるのが競争優位の状態です。それでは競争優位の状態とはどういう状態でしょうか

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競争優位:企業の行動が業界や市場で経済価値を創出し、かつ同様の行動を取っている競合企業がほとんど存在しない
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ここで一番重要なのは"同様の行動を取っている競合企業がほとんど存在しない"という点です。ここは、ぼくは個人の人生でも非常に重要だと思ってしまいます。特に衰退産業で、優秀な方々が「同じことをする」という競争の報われなさを見ることは、ファーム時代に本当に多かったです。ブルーオーシャン戦略以前に、そもそもBarneyみたいな古典の名著でこういうことは既に語られているんですね。本書では、「"戦略を学ぶ"ということは、"競争優位の獲得を目指す為のセオリーを学ぶことと同義"」とされています。


そして企業の戦略を考える上で最も簡単な方法は、「企業は良く考えられたセオリーに基づいて事業を開始、市場がそのセオリーの有効性を検証し、その結果を受けて経営者はセオリーがより効果的に競争優位をもたらす修正を加える」とされています。Mintzbergの創発戦略ですね。創発戦略の定義もおさえておきます。
--
創発戦略:企業がある業界や市場で事業運営している最中に、時間の経過と共に「現れ出る」戦略。その業界における市場動向が予測不能である場合、創発戦略は特に価値が高い
--

結局のtところ、競争優位をどの様にもたらすということなのですが、それには下記の様に定義されています

--
競争優位をもたらす戦略:外部環境における脅威を無力化し、外部環境における機会と自社の強みを活用すると同時に、自社の組織が持つ弱みを回避もしくは克服できる戦略
--

やはり最良書は定義がすっきりしていて、かつ洗練していたいいなあと思います

長くなったので、また続きを書きます

--関連記事:安宅和人さんのData Scienceの授業
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戦略再考 - Tech firm/事業会社における戦略業務 (2/n)

前回の記事の続きを書いていきます

戦略再考 - Tech firm/事業会社における戦略業務 (1/n)
http://touya-fujitani.blogspot.com/2020/09/strategy.tech.html

事業会社のおける戦略業務の方法論の構築と、従来のStrategyとDigital/DX strategyはまったく別物であることに立脚した方法論の再構築に取り組んでいる、というのが今のぼくのステータスです。Data science/analyticsもStrategyにアドオンするのが基本的には筋の良いアプローチになる仮説を持っています


従来の古典的Pure strategyとDigital strategyはまったくの別物

最近、本当によく思うのは従来の古典的Pure strategyとDigital strategyはまったくの別物ということです。アプローチも求められるスキルも異なります。超乱暴かつ端的に言ってしまえば、古典的Pure strategyはファイナンスの世界観であり、Digital strategyはComputer scienceと数学の世界観です。ここが決定的に違う点だと思います。この本を読むとそれが痛感されます
 
アリババ 世界最強のスマートビジネス
https://amzn.to/32mwiwr

--
  • 古典的戦略
    伝統的な戦略論は、規模の経済に基づいている。企業は線型あるいは鎖型の構造を持ち、インプットを制御して効率を最大化することにより、アウトプットのコストを抑え、自らの価値を高めようとする

  • スマートビジネス
    スマートビジネスの戦略は本質的に、経済的関係を調整すること(ネットワーク・コーディネーション)とそうした関係を定量的に最適化するメカニズムを設計すること(データインテリジェンス)にかかわるものだ。ビジネスパーソンの多くは、コンピュータ科学の理解がイノベーティブな企業経営に不可欠なことを理解している。しかし経済学の理論や概念を知っていることが、テクノロジードリブンな企業において一段と重要になっていることを認識している人は少ない。テクノロジードリブンな企業というのは、要するにあらゆる企業ということである
 
出所:アリババ 世界最強のスマートビジネス https://amzn.to/32mwiwr
--
 

 

日本最高の戦略家の一人である安宅さんのDXの定義も、"DXはOldエコノミーが、AI×データ化すること(下の図で右に行くこと)"とされています。当然、その実施にあたってはcomputer scienceが前提となるのです。


出所:DXとは何か? - 安宅和人
https://kaz-ataka.hatenablog.com/entry/2020/07/25/004032
 
なので、戦略策定の参加者は必要最低限というよりも、かなりの水準のCSバックグラウンドやDigitalのドメイン知識がなければ、本来の意味合いでのDigital strategyもDX strategyも出来ません。多分既存のstrategyファームが変わっていかなければならない点です。最近、ACのstrategy teamの出身者がstrategy firmで重用されるのは、strategy skillというよりCS skill故な気がしています。
 
例えば、スマートビジネスの肝となるこの表のステップをCS skill抜きに実施するのはやっぱり無理があります
--
 

スマートビジネスによる最大のメリット協調的ネットワークとデータインテリジェンスによって、"これまでの戦略的思考"はあらゆる段階でお払い箱になってきたが、その変化が最も劇的に表れたのは企業における意思決定のあり方だ。スマートビジネスは可能なかぎりすべての意思決定を自動化する。データインテリジェンスは意思決定を、消費者対応の面でもネットワークの調整の効率化においても、着実にスマートにする。データインテリジェンスと協調的ネットワークがあれば、企業はスケール化とカスタマイズを同時に行うことができる。これはインターネットとAIが企業経営にもたらした最大のメリット
 

出典:アリババ 世界最強のスマートビジネス 
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--
しかし恐ろしいことがさらっと書かれています。一番重要なのはAlibabaの様な超大企業で既にそれが実装済なことです。SFの話なのではないのです。実装済みの企業があと2つありますね、google, Netflixです。
 
いまの戦略の最前線は"これまでの戦略的思考"ではなく、意思決定をしてくれるmachineの構造設計と実装、そして社内外の協調ネットワークのデザインなのです。戦略の未来はここだと日々確信が強くなります
 
各ファームDigital /DX strategyを売り込んでいますが、ここまでの深度で外部アドバイザリーが出来るかと言うと、かなりの難易度の様に思います。ここをパッケージ化出来れば、一時代が始まる様な気がするんですけれど、そこの震源地は実はAWS/GCPスペシャリストが一番近い位置にいるんじゃないかなと思ったりします。要はそれくらいCS寄りの話ということです
 
なので、戦略の最前線はテックにあることを見据えて今後5年ほどかけてそこに対応していくと共に、実績をつくっていきたいと思っています
 
 
 
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関連記事:濱口秀司さんの戦略・イノベーション

世界トップ大学のCS/DS/AI関連のCheat sheatまとめ (*随時更新)

海外大ではCheat sheatというとても他者貢献性の高い習慣があります。日本だとカンニングペーパーみたいに解釈されがちですが、学習内容を1枚にサマリーしたものでそもそも試験にも持ち込み可能だったりします。

これは学習にとても有用なものが多く、有名どころをまとめていきます。随時更新します

 

Stanford CS229の内容が非常に分かりやすくまとまっています

Stanford CS229

stanford.edu

stanford.edu

stanford.edu

 

DS/AI関連が非常に広範囲・良質にまとまっています

Cheat Sheets for AI, Neural Networks, Machine Learning, Deep Learning & Big Data

becominghuman.ai

 

 

MITの統計授業のチートシートです。統計のチートシートでは知る限りベストです

https://courses.edx.org/assets/courseware/v1/e47203b8bde2980be758b5e15c0167f6/asset-v1:MITx+6.431x+3T2018+type@asset+block/resources_Cheatsheet.pdf

f:id:touya_hujitani:20200924232454p:plain

f:id:touya_hujitani:20200924232519p:plain

f:id:touya_hujitani:20200924232538p:plain

f:id:touya_hujitani:20200924232600p:plain






 

東大が無料公開している超良質なPython/Data Science/Cloud教材まとめ (*随時更新)

東京大学がちょっとびっくりするくらいの超良質な教材を無料公開していたので、まとめました

  1. Python入門講座
    東大のPython入門が無料公開されています。scikit-learnといった機械学習関連についても説明されています。ホントいいです
    Pythonプログラミング入門 東京大学 数理・情報教育研究センター:

    utokyo-ipp.github.io



    東大のPython本も非常にオススメです

    Pythonによるプログラミング入門 東京大学教養学部テキスト: アルゴリズムと情報科学の基礎を学ぶ

    https://amzn.to/2oSw4ws

  2. Pythonプログラミング入門 - 東京大学 数理・情報教育研究センター
    Google Colabで学習出来るようになっています。練習問題も豊富です

    https://colab.research.google.com/github/utokyo-ipp/utokyo-ipp.github.io/blob/master/colab/index.ipynb


    Pythonプログラミング入門 (pdf版教科書)

    https://utokyo-ipp.github.io/IPP_textbook.pdf

  3. Data Science
    なんでしょう、この良質過ぎるまとめは。Data Scienceのトピックが大抵揃っていて、資料はほとんど東大が作成しています。これ凄くない!?

    数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム

    これも東大ですが、データサイエンスの概観を掴む上では最良書と思える本が出ました

    データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために
    東京大学先端科学技術研究センター特任講師 - 江崎 貴裕

    https://amzn.to/30A3zlG

  4. Cloud/AWS
    今の東京大学計数工学科ってAWSここまで実践的に教えるんだと驚かされます。講義内容が公開されています

    AWSによるcloud入門
    https://tomomano.gitlab.io/intro-aws/#_%E6%9C%AC%E8%AC%9B%E7%BE%A9%E3%81%AE%E7%9B%AE%E7%9A%84%E5%86%85%E5%AE%B9](https://t.co/DOpmOvDI1D?amp=1

    こちら書籍化された様です
    AWSではじめる クラウド開発入門
    amzn.to/3DMFaeO

  5. 強化学習の基礎と深層学習
    東京大学松尾研究室の深層強化学習サマースクールの資料が公開されています

    www.slideshare.net

  6. 人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』
    松尾豊東京大学准教授セッション
    松尾先生の公開動画はこれがとてもオススメです

    www.youtube.com

  7. 東京大学松尾研究室によりDeep learning講座
    すっかり知名度が国内最高峰として定着した松尾研究室でも、Deep learningの無料講座を公開しています

    Deep Learning基礎講座演習コンテンツ 公開ページ | 東京大学松尾研究室 - Matsuo Lab

    これで基礎を構築して、MITのコースって感じですかね

  8. 数理・データサイエンス・AIモデルカリキュラム完全準拠教材
    http://www.mi.u-tokyo.ac.jp/6university_consortium.html

    政府の「AI戦略2019」に対応した内容であり、モデルカリキュラムの内容の全てに対応した教材とのことです。数理統計を非常に丁寧かつ大ボリュームで解説しています

  9. 機械学習データマイニング

    データマイニング入門

    理学部のデータマイニング入門(現在のデータマイニング概論)の授業のビデオおよび講義スライドをOCWxから公開しています。ノートブックはこちらから公開しています。 Binderで実行可能です。

     

    Deep Learning基礎講座演習

    東京大学で開催中のDeep Learning基礎講座のコンテンツ(ノートブック)を無償公開しています。

  10. (番外)ハーバード大学の CS50 の日本語版翻訳プロジェクト
    ハーバード大学 CS50 の日本語版翻訳プロジェクトだそうです。なんだかんだ言って日本語で学習出来ることの理解度への貢献性は大きい様に思います

    CS50 for Japanese: コンピュータサイエンスの入門
    cs50.jp

  11. (番外)AI For Everyone

    AI For Everyone (すべての人のためのAIリテラシー講座) | Coursera


    DeepLearning.AIの人気コース「AI for Everyone」に、東大松尾豊教授が講師をつとめる日本向けコンテンツを加えた特別版が公開されています。英語の壁をちょっとはずしてあげるだけで可能性が解き放たれるケースがグッと増えるというのと、もはやサブスキルとしてのAIは必須だと本当に思います。元々のコースを作成しているAndrew NgはAIのMOOCSでは世界トップとして独走状態のように思います

    AI For Everyone (すべての人のためのAIリテラシー講座) | Coursera

    https://www.coursera.org/learn/ai-for-everyone-ja



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戦略再考 - Tech firm/事業会社における戦略業務 (1/n)

戦略業務の方法論の再構築

ファームからテック企業に転職して大分経つのですが、現職で戦略関連の業務に取り組むことが多く、戦略系の本と過去の自分の業務を振り返る様になりました。というのは、戦略業務においてファーム時代とまったく同じ様に実施するわけにはいかず、方法論の再構築を試みている為です。要は、事業会社における戦略業務の方法論の構築を試みているのです

従来の古典的Pure strategyとDigital strategyはまったくの別物

それに加えて、従来の古典的Pure strategyとDigital strategyはまったく別物であることの確信がどんどん強くなっています。その意味でも戦略業務の方法論の更新を行っています。このあたりこの本を読むと痛感します。著者はAlibabaの最高戦略責任者を勤めていた方です

アリババ 世界最強のスマートビジネス
https://amzn.to/32mwiwr 

最近1日10回は聞く「DX戦略」については、安宅さんが流石の定義をされてました。プロジェクトでもそうなのですが、重要事項について最高の定義が出来ると物事が進みます

"DXはOldエコノミーが、AI×データ化すること(下の図で右に行くこと)"


DXとは何か?
https://kaz-ataka.hatenablog.com/entry/2020/07/25/004032

ファーム時代の業務を改めて整理しつつ、Digital/DX strategyに如何に発展させるかを試行錯誤しています。ここが今ぼくが一番燃えている領域です


戦略系の本でよく読み直すのはこの本です

 

  1. 良い戦略・悪い戦略
    https://amzn.to/3bVkBQz
  2. Blue Ocean Shift
    https://amzn.to/32nq3IZ
  3. Blue Ocean Strategy reader
    https://amzn.to/2Fno4LZ
  4. Strategic management
    https://amzn.to/3m8RmhU
  5. 世界標準の経営理論
    https://amzn.to/3bPb8dL
  6. シン・ニホン
    https://amzn.to/3kdORJE

良い戦略、悪い戦略

その中で、最もシンプルで分かりやすく、それでいてエッセンスを捉えている「良い戦略・悪い戦略」についてまとめます。著者のRichard Rumeltは、日本ではあまり有名ではない様に思いますが、McKinsey QuarterlyではStrategy’s strategistと賞賛されていますね。Rumeltの基本的な考え方は、企業のコアケイパビリティが業績を決めるというもので、Resource based viewのJay B. Barneyの流派ですね



Strategy’s strategist: An interview with Richard Rumelt
https://www.mckinsey.com/business-functions/strategy-and-corporate-finance/our-insights/strategys-strategist-an-interview-with-richard-rumelt

 

 


良い戦略の2つの特徴
2点が悪い戦略の特徴としてあげられています。
  1. 良い戦略は驚きである
    良い戦略に自ずと備わっている第一の価値は、新たな強みを生み出すことができる点にあるとされています。そして、良い戦略は重要な一つの結果を出す為に的を絞った方針を示し、リソースを投入し行動を組織するとされています。事例としてはappleの窮地を救ったJobsの施策が紹介されています。Jobsが「機会の窓」を捉えることに卓越していた点にも注目しています。機会の窓というのは、市場・技術の転換点などで発生するマーケット転換・開拓のチャンスのことです
  2. 強みを発見する
    良い戦略に自ずと備わっている第二の価値は、これまでとは違う視点から未知の強みやチャンスあるいは弱点や脅威を発見できる点にあるとされています。ダビデゴリアテの例が紹介されています。要は、強みと弱みに関する既成の見方は必ずしも正しくないのです。相手が持っていないもの、気づいていないものをどうやって見抜くか、そしてこちらの強みをどこに見出しどう活かすかということについて何らかの発見が出来れば卓越した成果を出すことがあり得ます。が、その強みはよほど注意を集中しないと見えてきません。このような「気づきから導き出された戦略」は、普通の強みを圧倒的な強みに変えることが出来ます。やはり「発見」が重要ということです。

 

悪い戦略の4つの特徴
4点が悪い戦略の特徴としてあげられています。

 

  1. 空疎である
    「華美な言葉や不必要に難解な言葉が並び内容がない。」
    EX
    われわれの基本戦略は、顧客中心の仲介サービスを提供することである
    →われわれの基本戦略は銀行であることである、と言っているに過ぎない 

  2. 重大な問題に取り組まない
    「重大な問題に対して、見ないふりをするか、軽度あるいは一時的と言った誤った定義をする」。
    これは企業戦略とはあまり関係がないのですが、Think Smartの中で取り上げられていた人間が最も大事なことに取り組めない要因の「始めてから成果が出るまでに、時間がかかるから」ということが大きい様に思います

    参考書籍
    Think Smart
    https://amzn.to/3kbC8H6

  3. 目標と戦略と取り違えている
    「単に願望や希望的観測を語っていて、困難な問題を乗り越えられる具体的な理由がない」。まあ、これはあるあるですね。よく見かける根拠のない毎年売上20%成長の事業計画みたいなものです。そもそも言葉の定義をちゃんとしていないことが大きい様に思います

    ところで戦略関連の定義って、誰もが納得する一般定義はいまだありません。本書では「戦略とは、何か野心を抱いたとき、あるいは何か新しい変化に直面した時に、リーダーシップや決意をいつどこでどの様に発揮すべきか、その道筋を定めること」と定義されています。やっぱりよくわかりません。

    ぼくはP&G出身の方が良く言われる「戦略=リソース配分」というのがスッキリしていて好きです。後はBlue Ocean Strategyみたいなアクションレベルまで落とし込まれている個別戦略も非常に好きです。やはり「何のアクションを取ったら良いのか」というところまで落ちてきていないと納得感がありません。何らかの結果を出すのは常に具体的なアクションなのです。そしてどういったアクションを取りえるかというのは、どれだけリソース配分がなされるかということが一番の変数なのです。
    --
    目的: 命題、 最上位概念、(多くの場合は企業ビジョン)
    目標: 資源集中投下の具体的な的
    戦略: 資源配分の選択
    戦術: 実現するための具体的なプラン
    --
    参考記事
    あるいは日本史上最高峰のマーケティング実録 - 森岡毅さんの著作 (1/)
    http://touya-fujitani.blogspot.com/2018/08/1_19.html


  4. まちがった戦略目標を掲げている
    「重大な問題と無関係だったり、単純に実行不可能であったりする」。これはIssueとfeasibilityの問題ですね。

ここまでくると、では一体良い戦略とは?と知りたくなりますね。この本良く出来ています。それでは良い戦略の定義とはなんなのでしょうか

良い戦略

 

  • 本書では「良い戦略とは最も効果の上がるところに持てる力を集中投下するに尽きる」、「良い戦略とは、自らの強みを発見し、賢く活用して、行動の効果を二倍、三倍に高めるアプローチにほかならない」とされています。やっぱりこれくらい平易な言葉に落とし込んでくれると、納得しやすいです

 

良い戦略の基本構造

  • 良い戦略の基本構造としては下記の3点があげられています。ここは特に一般的なことしか紹介されていない様に思います

 

  1. 診断
    状況を診断し、取り組むべき課題を見出す
  2. 基本方針
    診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性と総合的な方針を示す
  3. 行動
    基本方針を実行する為に設計された一貫性のある行動をコーディネートして方針を実行する
良い戦略に活かされる強みの源泉
  • 良い戦略では、どの様な強みが生み出され活用されているか紹介されています
  1. テコ入れ効果
    良い戦略は、地力やエネルギーや行動の集中によって威力を発揮するとされています。ここぞという瞬間にここぞという対象に向かう集中が、幾何級数的に大きな効果をもたらすことを目指す。要はイシューを絞ったリソースの集中投下のことですね。
  2. 近い目標
    目標設定の階層の設定のことです。近い目標とは、手の届く距離にあって十分に目標を意味します。戦略実行の為のアクションプランの策定において非常に重要です。最重要課題に優先して取り組む為には、他の重要なことをすべてクリアできていなければならないことにも言及されています
  3. 鎖構造
    最も弱い箇所によって全体の性能が決まってしまう様なシステムは鎖の様な構造を持つち、どこかに弱い環がある場合いくら他の環を強化しても鎖全体は強くはならないとしています。これはTOCのことですね
  4. 設計
    ハンニバルの事例をあげています。戦略というのは元々は軍の為のものであったことは有名ですね。そしてハンニバルは、その領域での最高の天才とされることが多いです。ハンニバルの戦略には、あらかじめ入念に練り上げられたこと、敵の行動を予測していること、明確な意図を持って全軍のデザインを図るという3点の特徴があったことが言及されています

    ハンニバル研究の良書というのはあまり思い当たらないのですが、実は漫画になっていて、これがめちゃくちゃ面白いです。しかもハンニバルの戦略が学べるつくりになっています

    アド・アストラ ―スキピオハンニバル
    https://amzn.to/3iqeQwQ
  5. フォーカス
    様々な要点を一点にフォーカスすることの重要性が述べられています
  6. 成長路線の罠と健全な成長
    健全な成長というものは合併などの人為的操作によって実現出来るものではなく、独自の能力に対する需要増または、イノベーション・知恵・効率・創造性の見返りとして企業を成長するとされています。M&Aの成功率は30%前後ですからね
  7. 優位性
    現実の競争では双方が完全に同等ということはあり得ず、数多くの非対称が存在します。どの対象が決定的に重要かを探り出し、それを自らの優位に変えることがリーダーの役割とされています
  8. ダイナミクス
    戦略上有利な地位をどの様に生み出すかという点について、一つは自前のイノベーションによって作り出す、もう一つは変化のうねりに乗ること。テクノロジー、買い手の意識・嗜好性の変化などによって生み出される変化のうねりに乗ることがあげられています
  9. 慣性とエントロピー
    組織の慣性は、業務の慣性・文化の慣性・委任による慣性が存在し、そのモーメントを活用することが紹介されています
 
こう書いてくると、要は良い戦略というのは、「イシューをうまく捉えてレバレッジを効かせる為にリソースを集中投下すると共に、システムシンキングの概念等を取り込む」くらいの話に見えてきます。何だか戦略業務がとても簡単なことの様に思えてきますが、そんなわけはないのです。
 
そもそもイシューを捉えるということの難易度は常に最高峰です。それに加えて、構造化、各種分析スキル、仮説構築、イシュー特定、そもそもの戦略・ファイナンス・テクノロジー・各ドメインについての専門知識、などのスキルが絡んでくるのでやはりその点をどうするかというのが事業会社での戦略業務の課題です。やはりファーム人材はここを血反吐まみれになって学ぶというか、ここに時間と労力がかかるのです。
 
古典的Pure strategyとDigital strategyはまったく別の物であることについても今後書いていきたいと思います
 
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キーポイントシリーズはなぜ分かりやすいか - キーポイント 確率・統計 (1/)

あるいは最も投資対効果の高い数学書:キーポイントシリーズ


ぼくはキーポイントシリーズが大変素晴らしいと思っています。

キーポイント確率・統計

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端的に「数学の実用性」に焦点を置いている点がとても好感が持てます。そもそも99.9%の人は数学者にはならないのです。が、「数学が道具として必要な人」という意味だと世の大半の人が当てはまります。

あともう一つ優れた教科書の特徴として「網羅性を捨てている」というのがありますが、そもそもコンセプトからしてこれに適合しています。

そして分量が薄い。分量が薄いというのは非常に大事です。人間は一度に大量のことは考えられませんが、分量が薄くかつ対象そのものの情報構造が失われていない場合は、「対象の情報構造そのものを、最小単位の情報量で、頭の中に入れる」ことが出来ます。これが出来れば、後は「量をこなす」だけで、ガンガン進めていけます。余談ですが、英語という言語そのものに対してそれが出来ている名著があります。「英文読解入門基本はここだ!」です。私は実案件でも、「対象の情報構造そのものを、最小単位の情報量で、頭の中に入れる」ことをまずやります。その後の膨大な情報処理を効率化させる最も重要なタスクです。

目次は下記の通りです。1-5までは高校数学の範囲って感じですけれど、もともと大学1年生用ですからね。

1 確率・統計をなぜ勉強するのか
2 確率変数と確率分布
3 2項分布は「確率論」の始め
4 まれな現象はポアソン分布
5 正規分布はなぜ重要か
6 データ処理と標本分布
7 検定・推定の実際
8 確率過程とシミュレーション

プログラミング界隈におけるprogateもそうなんですけれど、こういうfirst barrierの障壁を徹底的に下げて、自走出来る状態まで持っていくっていう役割は重要だなあと思う次第です。

もう一つ優れた教科書の特徴として「言葉の定義、というより一般で浸透している言葉の再定義が巧み」というのがあるのですがこれは次回以降投稿します。

Shift 濱口秀司 (著) - イノベーションの最高の教科書 (7/)

引き続き、日本人の最高のイノベーターの濱口秀司さんの論文集Shiftについて書いていきます。名著というものは「使い倒す」ことが重要です、そしてそれが名著への最大の敬意だと思います。発売されて結構経ちますけれど、時間を見つけては読み込んでいます。

SHIFT:イノベーションの作法

 
目次は下記のとおりです。今回は"エクスターナルマーケティング"について取り上げたいと思います。
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第1回 イノベーションは誰もが起こせる
第2回 SHIFT領域の考え方
第3回 バイアスを破壊する
第4回 問題の本質から強制発想する
第5回 市場を実験場にしない
第6回 不確実性の中で意思決定を下すには
第7回 戦略意思決定の質を高める
第8回 ユーザーの心をいかにとらえるか
第9回 誰に何をどのように働きかけるか
第10回 プライシングを動的にとらえる

第11回 自由度の高いフェーズにリソースをかける
第12回 個人で考え切ってこそ議論の質が上がる
第13回 学ぶ者が教える者を超えなければ意味がない
第14回 不確実性を論理的に乗り越える ~SHIFTに関するQ&A

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー論文真のイノベーションを起こすために「デザイン思考」を超えるデザイン思考

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エクスターナルマーケティングとは

エクスターナルマーケティングとはなんでしょうか。
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エクスターナルマーケティング
企画してきた商品と実際の顧客をマッチングさせる考え方と手法
 

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クルターナルマーケティングは、「ユーザーの心のとらえ方」ともされています。


ユーザーの心をいかに捉えるか

ところで、マーケティングを考える際に非常に重要な点があります。それはいきなりユーザーペルソナをつくりはじめないことです。

「大ヒット」といえる数の顧客を獲得するには、「目の前にいる大多数の人たちにとって魅力的な商品を企画しなければならないのです。これが、エクスターナルマーケティングにおけるシンプルな原則です。何らかの企画をする際にまずペルソナを設定して、、、というのは実はその時点で大ヒットからは遠くなっているのです。ペルソナを細かくきった時点で獲得マーケットは小さくなっていますここは"常識"が故に誰しもが陥りがちな罠ですね。狙うべきは「特定のペルソナにうける商品をつくる」のではなく、「万人が共通して持っている心理をとらえる」ことなのです。

大ヒットを狙うならターゲットは「どこにでもいる標準的な人である」ことを前提にすべきなのです。かつ、本当に難しいのは「どこにでもいるユーザーの心理をとらえること」なのです。これは言われれば、腹に落ちるというか普通に常識的な話ですね。大ヒットする音楽なり、プロダクトなり、なんなりは誰しもの心理に何らかの形で訴求出来ているから大ヒットしたわけですね。

マーケティングを真面目に勉強している方ほど即時にペルソナ作成とかcustomer journeyに取り掛かってしまい、その時点で大ヒットから遠くなってしまうというのは結構な罠ですね。デザイン思考でイノベーションを起こそうとしてユーザーを注視してしまって失敗してしまう不幸と同じ構造です。ぼくはこういう「"常識"によって、みんなが失敗してまっていること」を指摘することは非常に価値があることだと思っています。

まずやるべきことは
どこにでもいるユーザーの心理をとらえること」なのです。どこにでもいるユーザーが購買意欲を駆り立てられる「デザイン」、「ファンクション」、「ストーリー」の三要素すべてを一貫性とある商品として設計し、ユーザーが三要素のいずれかに魅力に引き込まれる導線を仕込んで、確実に購買に結びつける、ということが基本的なプロトコルです。そのプロトコルに則るならば、思考のフローは「まずマーケット規模の大きいそうな領域のペルソナを切って、、、」ではなく、「誰しもに関係するメガトレンドはなんだろう、そして誰しもに訴求出来る価値(デザイン、ファンクション、ストーリー)はなんだろう」というフローになろうかと思います。

過去記事で取り上げていますが、"ユーザーの認知する価値"と"ユーザーへの価値の伝え方"について復習します。

 

ユーザーの認知する価値

この3点がユーザーの価値とされていました。
  1. 機能:利便性
  2. デザイン:情緒性
  3. ストーリー:意味性

機能は3つ程度で言えるもの、デザインはひと目で分かるもの、ストーリーは誰でも語れるものであることが肝要であり、またこの3つの整合性が重要とされていました。

ユーザーへの価値の伝え方

ユーザーの心のとらえ方には3つのアプローチがあるとされています。
  1. スナイパー型
  2. ハンター型
  3. フィッシャーマン型



スナイパー型もハンター型もユーザー像を想定して狙い撃ちするアプローチであり、単一商品か複数商品かという違いです。それに対してフィッシャーマン型は、提供価値の何か1点を起点として顧客を絡め取るということを特徴としています。デザイン、ファンクション、ストーリーのどこかでユーザーに共感してもらおうという方式です。要は猫も杓子もも多様性の時代では、こっちの方が成功しやすいのですね。

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Union Wine Companyのケース


Union Wine Companyのケースが紹介されていました。Union wineでは「ワーカがつくる、ワーカのためのワイン」というストーリーは出来上がっているものの、デザインファンクションの領域でストーリーと合致するShiftが必要でした。

ここで重要になったのが外部環境です。Union wineは自然に恵まれたオレゴンに位置しており、海・山・ウィンドサーフィンが出来る川・200本のバイクトレイルがありバイカーの楽園と言われることもある場所でした。そこでファンクションとして提案されたのが「缶入りのワイン」でした。過去に別企業の取り組みで缶入りのワインはことごとく失敗しておりましたが、アルミ缶の"運びやすい、割れにくい、冷えやすい”というファンクションはユニオンワインの外部環境に非常に整合性のあるものでした。

デザインにおいては缶入りであること自体が強烈なインパクトを持つことが期待されました。それ以上に
「ワーカがつくる、ワーカのためのワイン」というストーリーとの整合性が「缶入りのワイン」というデザインにはあることが想定されました。缶入りのワインというデザインは、「ワーカーがつくる、ワーカーのためのワイン」というストーリーを雄弁に語っています。が、このプロダクトがすぐにヒットしたかというとそうではありませんでした。
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その為、「鵜を動かすには、鵜飼いを動かせ」という発想で、ワインの作り手たちや流通の担い手であるバイヤーたちの間で話題になることを目指しました。作り手達はワインのバイヤー達への影響力が大きく、最終的には大ヒットになりました。要は「最終消費者マーケティングしよう」というのは必ずしも必須事項ではないのです最終消費者にメッセージを届けるというのは、通常最もコストがかかるアプローチです。

これだけでもうまくいきそうなものですが、
「最初の100人を確実に獲得する方法」、「ユーザーとのタッチポイントで5秒で確実と思わせる方法」についても記載されています。

長くなったのでまた続きます。

 

 
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