引き続き、日本人の最高のイノベーターの濱口秀司さんの論文集Shiftについて書いていきます。名著というものは「使い倒す」ことが重要です、そしてそれが名著への最大の敬意だと思います。発売されて結構経ちますけれど、時間を見つけては読み込んでいます。
SHIFT:イノベーションの作法
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第1回 イノベーションは誰もが起こせる第2回 SHIFT領域の考え方
第3回 バイアスを破壊する
第4回 問題の本質から強制発想する
第5回 市場を実験場にしない
第6回 不確実性の中で意思決定を下すには
第7回 戦略意思決定の質を高める
第8回 ユーザーの心をいかにとらえるか
第9回 誰に何をどのように働きかけるか
第10回 プライシングを動的にとらえる
第11回 自由度の高いフェーズにリソースをかける
第12回 個人で考え切ってこそ議論の質が上がる
第13回 学ぶ者が教える者を超えなければ意味がない
第14回 不確実性を論理的に乗り越える ~SHIFTに関するQ&A
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー論文真のイノベーションを起こすために「デザイン思考」を超えるデザイン思考
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エクルターナルマーケティングは、「ユーザーの心のとらえ方」ともされています。
「大ヒット」といえる数の顧客を獲得するには、「目の前にいる大多数の人たちにとって魅力的な商品を企画しなければならない」のです。これが、エクスターナルマーケティングにおけるシンプルな原則です。何らかの企画をする際にまずペルソナを設定して、、、というのは実はその時点で大ヒットからは遠くなっているのです。ペルソナを細かくきった時点で獲得マーケットは小さくなっています。ここは"常識"が故に誰しもが陥りがちな罠ですね。狙うべきは「特定のペルソナにうける商品をつくる」のではなく、「万人が共通して持っている心理をとらえる」ことなのです。
大ヒットを狙うならターゲットは「どこにでもいる標準的な人である」ことを前提にすべきなのです。かつ、本当に難しいのは「どこにでもいるユーザーの心理をとらえること」なのです。これは言われれば、腹に落ちるというか普通に常識的な話ですね。大ヒットする音楽なり、プロダクトなり、なんなりは誰しもの心理に何らかの形で訴求出来ているから大ヒットしたわけですね。
マーケティングを真面目に勉強している方ほど即時にペルソナ作成とかcustomer journeyに取り掛かってしまい、その時点で大ヒットから遠くなってしまうというのは結構な罠ですね。デザイン思考でイノベーションを起こそうとしてユーザーを注視してしまって失敗してしまう不幸と同じ構造です。ぼくはこういう「"常識"によって、みんなが失敗してまっていること」を指摘することは非常に価値があることだと思っています。
まずやるべきことは「どこにでもいるユーザーの心理をとらえること」なのです。どこにでもいるユーザーが購買意欲を駆り立てられる「デザイン」、「ファンクション」、「ストーリー」の三要素すべてを一貫性とある商品として設計し、ユーザーが三要素のいずれかに魅力に引き込まれる導線を仕込んで、確実に購買に結びつける、ということが基本的なプロトコルです。そのプロトコルに則るならば、思考のフローは「まずマーケット規模の大きいそうな領域のペルソナを切って、、、」ではなく、「誰しもに関係するメガトレンドはなんだろう、そして誰しもに訴求出来る価値(デザイン、ファンクション、ストーリー)はなんだろう」というフローになろうかと思います。
過去記事で取り上げていますが、"ユーザーの認知する価値"と"ユーザーへの価値の伝え方"について復習します。
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これだけでもうまくいきそうなものですが、「最初の100人を確実に獲得する方法」、「ユーザーとのタッチポイントで5秒で確実と思わせる方法」についても記載されています。
長くなったのでまた続きます。
ユーザーの心をいかに捉えるか
ところで、マーケティングを考える際に非常に重要な点があります。それはいきなりユーザーペルソナをつくりはじめないことです。「大ヒット」といえる数の顧客を獲得するには、「目の前にいる大多数の人たちにとって魅力的な商品を企画しなければならない」のです。これが、エクスターナルマーケティングにおけるシンプルな原則です。何らかの企画をする際にまずペルソナを設定して、、、というのは実はその時点で大ヒットからは遠くなっているのです。ペルソナを細かくきった時点で獲得マーケットは小さくなっています。ここは"常識"が故に誰しもが陥りがちな罠ですね。狙うべきは「特定のペルソナにうける商品をつくる」のではなく、「万人が共通して持っている心理をとらえる」ことなのです。
大ヒットを狙うならターゲットは「どこにでもいる標準的な人である」ことを前提にすべきなのです。かつ、本当に難しいのは「どこにでもいるユーザーの心理をとらえること」なのです。これは言われれば、腹に落ちるというか普通に常識的な話ですね。大ヒットする音楽なり、プロダクトなり、なんなりは誰しもの心理に何らかの形で訴求出来ているから大ヒットしたわけですね。
マーケティングを真面目に勉強している方ほど即時にペルソナ作成とかcustomer journeyに取り掛かってしまい、その時点で大ヒットから遠くなってしまうというのは結構な罠ですね。デザイン思考でイノベーションを起こそうとしてユーザーを注視してしまって失敗してしまう不幸と同じ構造です。ぼくはこういう「"常識"によって、みんなが失敗してまっていること」を指摘することは非常に価値があることだと思っています。
まずやるべきことは「どこにでもいるユーザーの心理をとらえること」なのです。どこにでもいるユーザーが購買意欲を駆り立てられる「デザイン」、「ファンクション」、「ストーリー」の三要素すべてを一貫性とある商品として設計し、ユーザーが三要素のいずれかに魅力に引き込まれる導線を仕込んで、確実に購買に結びつける、ということが基本的なプロトコルです。そのプロトコルに則るならば、思考のフローは「まずマーケット規模の大きいそうな領域のペルソナを切って、、、」ではなく、「誰しもに関係するメガトレンドはなんだろう、そして誰しもに訴求出来る価値(デザイン、ファンクション、ストーリー)はなんだろう」というフローになろうかと思います。
過去記事で取り上げていますが、"ユーザーの認知する価値"と"ユーザーへの価値の伝え方"について復習します。
ユーザーの認知する価値
この3点がユーザーの価値とされていました。- 機能:利便性
- デザイン:情緒性
- ストーリー:意味性
機能は3つ程度で言えるもの、デザインはひと目で分かるもの、ストーリーは誰でも語れるものであることが肝要であり、またこの3つの整合性が重要とされていました。
ユーザーの心のとらえ方には3つのアプローチがあるとされています。ユーザーへの価値の伝え方
- スナイパー型
- ハンター型
- フィッシャーマン型
スナイパー型もハンター型もユーザー像を想定して狙い撃ちするアプローチであり、単一商品か複数商品かという違いです。それに対してフィッシャーマン型は、提供価値の何か1点を起点として顧客を絡め取るということを特徴としています。デザイン、ファンクション、ストーリーのどこかでユーザーに共感してもらおうという方式です。要は猫も杓子もも多様性の時代では、こっちの方が成功しやすいのですね。
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Union Wine Companyのケース
Union Wine Companyのケースが紹介されていました。Union wineでは「ワーカがつくる、ワーカのためのワイン」というストーリーは出来上がっているものの、デザインとファンクションの領域でストーリーと合致するShiftが必要でした。
ここで重要になったのが外部環境です。Union wineは自然に恵まれたオレゴンに位置しており、海・山・ウィンドサーフィンが出来る川・200本のバイクトレイルがありバイカーの楽園と言われることもある場所でした。そこでファンクションとして提案されたのが「缶入りのワイン」でした。過去に別企業の取り組みで缶入りのワインはことごとく失敗しておりましたが、アルミ缶の"運びやすい、割れにくい、冷えやすい”というファンクションはユニオンワインの外部環境に非常に整合性のあるものでした。
デザインにおいては缶入りであること自体が強烈なインパクトを持つことが期待されました。それ以上に「ワーカがつくる、ワーカのためのワイン」というストーリーとの整合性が「缶入りのワイン」というデザインにはあることが想定されました。缶入りのワインというデザインは、「ワーカーがつくる、ワーカーのためのワイン」というストーリーを雄弁に語っています。が、このプロダクトがすぐにヒットしたかというとそうではありませんでした。
ここで重要になったのが外部環境です。Union wineは自然に恵まれたオレゴンに位置しており、海・山・ウィンドサーフィンが出来る川・200本のバイクトレイルがありバイカーの楽園と言われることもある場所でした。そこでファンクションとして提案されたのが「缶入りのワイン」でした。過去に別企業の取り組みで缶入りのワインはことごとく失敗しておりましたが、アルミ缶の"運びやすい、割れにくい、冷えやすい”というファンクションはユニオンワインの外部環境に非常に整合性のあるものでした。
デザインにおいては缶入りであること自体が強烈なインパクトを持つことが期待されました。それ以上に「ワーカがつくる、ワーカのためのワイン」というストーリーとの整合性が「缶入りのワイン」というデザインにはあることが想定されました。缶入りのワインというデザインは、「ワーカーがつくる、ワーカーのためのワイン」というストーリーを雄弁に語っています。が、このプロダクトがすぐにヒットしたかというとそうではありませんでした。
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その為、「鵜を動かすには、鵜飼いを動かせ」という発想で、ワインの作り手たちや流通の担い手であるバイヤーたちの間で話題になることを目指しました。作り手達はワインのバイヤー達への影響力が大きく、最終的には大ヒットになりました。要は「最終消費者にマーケティングしよう」というのは必ずしも必須事項ではないのです。最終消費者にメッセージを届けるというのは、通常最もコストがかかるアプローチです。
これだけでもうまくいきそうなものですが、「最初の100人を確実に獲得する方法」、「ユーザーとのタッチポイントで5秒で確実と思わせる方法」についても記載されています。
長くなったのでまた続きます。
- Shift 濱口秀司 (著) - イノベーションの最高の教科書 (1/)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2019/08/shifthideshihamaguchi.html - Shift 濱口秀司 (著) - イノベーションの最高の教科書 (2/)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2019/08/shift-2hideshihamaguchi.html - Shift 濱口秀司 (著) - イノベーションの最高の教科書 (3/)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2019/08/shift-3hideshihamaguchi.html - Shift 濱口秀司 (著) - イノベーションの最高の教科書 (4/)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2019/10/4hideshihamaguchi.html?q=shift - Shift 濱口秀司 (著) - イノベーションの最高の教科書 (5/)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2020/03/shift-5.html - Shift 濱口秀司 (著) - イノベーションの最高の教科書 (6/)
https://touya-fujitani.blogspot.com/2020/03/shift-6.html