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デジタルについてトッププロファーム勤務の藤谷が書き綴ります。

キーポイントシリーズはなぜ分かりやすいか - キーポイント 確率・統計 (1/)

あるいは最も投資対効果の高い数学書:キーポイントシリーズ


ぼくはキーポイントシリーズが大変素晴らしいと思っています。

キーポイント確率・統計

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端的に「数学の実用性」に焦点を置いている点がとても好感が持てます。そもそも99.9%の人は数学者にはならないのです。が、「数学が道具として必要な人」という意味だと世の大半の人が当てはまります。

あともう一つ優れた教科書の特徴として「網羅性を捨てている」というのがありますが、そもそもコンセプトからしてこれに適合しています。

そして分量が薄い。分量が薄いというのは非常に大事です。人間は一度に大量のことは考えられませんが、分量が薄くかつ対象そのものの情報構造が失われていない場合は、「対象の情報構造そのものを、最小単位の情報量で、頭の中に入れる」ことが出来ます。これが出来れば、後は「量をこなす」だけで、ガンガン進めていけます。余談ですが、英語という言語そのものに対してそれが出来ている名著があります。「英文読解入門基本はここだ!」です。私は実案件でも、「対象の情報構造そのものを、最小単位の情報量で、頭の中に入れる」ことをまずやります。その後の膨大な情報処理を効率化させる最も重要なタスクです。

目次は下記の通りです。1-5までは高校数学の範囲って感じですけれど、もともと大学1年生用ですからね。

1 確率・統計をなぜ勉強するのか
2 確率変数と確率分布
3 2項分布は「確率論」の始め
4 まれな現象はポアソン分布
5 正規分布はなぜ重要か
6 データ処理と標本分布
7 検定・推定の実際
8 確率過程とシミュレーション

プログラミング界隈におけるprogateもそうなんですけれど、こういうfirst barrierの障壁を徹底的に下げて、自走出来る状態まで持っていくっていう役割は重要だなあと思う次第です。

もう一つ優れた教科書の特徴として「言葉の定義、というより一般で浸透している言葉の再定義が巧み」というのがあるのですがこれは次回以降投稿します。