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デジタルについてトッププロファーム勤務の藤谷が書き綴ります。

安宅和人さんのSFCのData Scienceの授業が公開されている (1/X)

安宅和人さんのSFCのData Scienceの授業が公開されています。

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EMERGENCE OF DATA DRIVEN SOCIETY AND STRATEGY - KEIO SFC Global Campus
http://gc.sfc.keio.ac.jp/cgi/class/class_top.cgi?2019_41574+e
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コンサルタントの授業として極めて優れている

この授業はコンサルタント研修として極めて優れています。安宅さんの分析についての講義なので、当然そうなるんですね。大学受験用英語というものが存在しない様に、大学生用の分析とコンサルタント用の分析って存在しません。分析は分析です。ちょっと名著イシュードリブンをアップデートかつ詳細にした内容とも言えるかもしれません。

しかし誰しもがMcKに入らずしてMcKの訓練官を勤めていた安宅さんの訓練が受けられる時代になりました。安宅さんがようここまでするなと思ってしまうのですが、要はこの3点のように思います。
  • そこまで日本のDS教育がヤバいと思っている
  • 周りからめっちゃ頼まれた(特に日本のインターネットの父の村井教授から頼まれた)
  • SFCを鍛えるくらいしか手がない(講義公開も含めて)

 

戦略ファームの研修やPJの体験が圧縮されているかのようなインサイト

研修やPJの中で言いそうだなーということが、講義中に山の様に出てきます。

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  • 気づきとは「新規事項と既存事項の結びつきを見出すこと」
  • 分析とは (*超重要)
    1. 分析とは「比較」

    2. 比べるべき対象がないと何も言えない
    3. 単に定量的に数字を並べているだけか、意味のある比較が出来ているかが、「単なる数字の羅列」と「分析」の違い
    4.通常は可視化しないとクリアに比較できない
  • 分析が機能するには「何に対して答えを出そうとしているか」が極めて重要
  • 分析設計は、目的設定、条件軸と評価軸の掛け合わせ

    出典:EMERGENCE OF DATA DRIVEN SOCIETY AND STRATEGY - KEIO SFC Global Campus
  • 定量分析の基本は、比較・構成・変化の3つ
  • 分析のコンセプトが明快なら表現の型は簡単に決まる
  • 「データを整理することは分析ではありませんよー」
  • 綺麗なデータを集めることが出来るのがプロ(解析はある程度誰でも出来る)
  • 分析設計の要素
    1. 特徴についての仮説・視点
    2. 条件軸
    3. 評価軸
    4. グラフ・分析結果のイメージ
    5. データの種類・属性の刻み・データ量
    • 分析フローの全体像


      出典:EMERGENCE OF DATA DRIVEN SOCIETY AND STRATEGY - KEIO SFC Global Campus
  • データを使う目的は3つ
    1. 客観的理解
    2. モデル作成
    3. 自動化
  • 良い分析の条件
    1. 目的がクリア
    2. 適切な比較のための軸がある
    3. 評価軸の広がりに十分な意味深さがある
    4. 比較がフェア
    5. 意味合いがクリア
  • ドメイン知識がなければ、データ解析は出来ない
    タンパク質のシーケンスデータを例に説明されますが、これは本当に重要な真実です。コンサルタントでもたまにドメイン知識を馬鹿にする方がいますが、非常に危険です
出典:EMERGENCE OF DATA DRIVEN SOCIETY AND STRATEGY - KEIO SFC Global Campus
  • データサイエンスには明らかに複数の専門性をもつことが必要
    Business, Data science, Data engineeringのすべてが不可欠な要素であることが本当にクリアです

出典:EMERGENCE OF DATA DRIVEN SOCIETY AND STRATEGY - KEIO SFC Global Campus
  • 分析において一番重要なのはAとBが違うということを見分ける能力
    こういう「
    本物の定義」にふれる為にぼくらは大量の本を読み、多くの方の話を聞かなければならないのです
  • データサイエンスは特別な職種の為のものだけじゃない
    高速道路の最初の100kmに事故の数が非常に多いのは何故でしょうか?と聞かれて、即答出来ますでしょうか (即答出来るのが大事です)。これは数字に関するセンスの問題なのです。
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こういうのって大学生がランドスケープについての感覚を掴む為の最初のインプットとするのも有効ですけれど、ある程度経験を積んでいるコンサルタントが聞くと自分の経験に対して質の良い言語化が行われるので非常に有効です。

ところで安宅さんは教員としてはキャリアが長いというわけではないはずなのですが、教育者としても物凄く格が高いです。この講座をぼくが勧めたくなるもう一つの大きな理由がこれです。例えば、ぼくがとても好きなのは安宅さんが授業の冒頭でHappyですか?Happyじゃない状態が3日続くようならなにかを変えるべきですとよく仰ることです。こういう一言が言えるかどうかは教育者としての格の大きさが現れますね。

しかし安宅さんがロングテールの定義を詳細に解説していますが、SFCの学生でロングテールの定義とかちゃんと説明しないといけないとかちょっと心配になります。

シンニホンがベストセラーですが、本講座を教科書化するそうです。めちゃくちゃ楽しみですね。日本人の戦略家では安宅さんと濱口さんが二大巨頭ですね。


過去記事
安宅和人さんのSFCのData Scienceの授業が公開されている (1/X)
安宅和人さんのSFCのData Scienceの授業が公開されている (2/X)
安宅和人さんのSFCのData Scienceの授業が公開されている (3/X)
安宅和人さんのSFCのData Scienceの授業が公開されている (4/X)
安宅和人さんのSFCのData Scienceの授業が公開されている (5/X)
安宅和人さんのSFCのData Scienceの授業が公開されている (6/X)
 安宅和人さんのSFCのData Scienceの授業が公開されている (7/X)

 

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