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デジタルについてトッププロファーム勤務の藤谷が書き綴ります。

誰もが戦略業務をやらばければならない時代に -3000年の叡智を学べる 戦略図鑑 (2/2)

戦略の本で久しぶりにこれはと思う本を見つけました。

3000年の叡智を学べる 戦略図鑑
https://amzn.to/33fZwMo

本書は、戦略の全体像をきっちりイシューを押さえて最小量の情報量で提示しているので非常に読み手への貢献性が高いというのが優れている点でした。まずは情報構造そのものを、最小単位の情報量で、頭の中に入れるのが初手としては筋が良いです。

やっぱりとても頭に入りやすいです。

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出典:3000年の叡智を学べる 戦略図鑑
余談ですがぼくはとにかく「競争が大嫌い」なので、何なら競争は世界の不幸の元凶くらいに思っているので、Jay B. Barneyとかは大好きなわけです。当然、Peter Thielも。

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出典:3000年の叡智を学べる 戦略図鑑

で、ここからが大事なのですが本書を業務にどうやって活用していくかについて考えていきたいと思います。読み物として読むだけだと、楽しいで終わっちゃいます。本書の場合特にそうな気がします。

新卒3-4年目くらいの子と接している時にいつも思うのですが、業務の仕方が下記の2つにくっきり分かれます

1. 優れた方法論を探そうとしてしまう子
2. 考え方、アプローチ、方法論を自分で生み出そうとする子
当然に価値が出るのは2の方です。例えば数学の問題で考えると分かりやすいのですが、1の方は公式をあてはめれば解ける練習問題レベルの問いのみを解こうとしようとしているようなものだからです。対応出来る領域は非常に限定的です。ただ一つ忘れていけないのは「知識」としての方法論も必要ということです。人間は知らないことは認識出来ないので、知識は知識として重要なんですね。「知識を獲得」した後に出来るだけ早く、「知識の運用・実践の量の獲得」に移りたいのですが、量を重ねる前に前に「理解」が先にあるべきです。理解がないままに量を重ねても実りがないからです。仮にステップを下記とした時に、特に戦略業務は一刻も早く3にいきたいのです。

知識で価値を生むまでのステップ
1. 知識の獲得
2. 知識の理解
3. 知識の運用・実践

で、本書が有用なのはこの点です。本書は戦略の全体像をきっちりイシューを押さえて最小量の情報量で提示してくれているので、「完全に理解する」のに非常に適しています。ここがぼくがいいなと思った最大の理由です。完全に理解する為には、全体の構造がきっちりイシューを押さえられつつ最小量の情報量でしめされているというのは本当に重要です。

戦略の全体像とイシューが最小限の情報量で頭の中に入った状態をつくってしまって、実践への活用をはじめる状態にはやく移行することがイシューなのです。世の分厚過ぎる戦略の本に対するぼくの違和感は学習者がそのステータスになかなか入れないことです。情報量が多すぎて、しかも難解なので、いつまでたっても3の状態にいけず下手すると1でずっと止まっていたりします。そんな時間はありません。そもそも本当に戦略業務をする際には、重要となるのは目の前のPJの情報を見てサッとイシューが思いつくことだったり、構造化・スライド作成だったり、ファイナンス・オペレーション・法務といった知識だったり、Digitalの専門性みたいな特定のドメイン知識だったりするので、覚えることは他にも山のようにあります。

前回の投稿にも書いたとおり、いまは誰しも戦略業務を行うことが求められ、(ひょっとしたら)戦略スキルがサブスキルになっていく時代だと思っています。つまり戦略業務への学習が「そんなに時間はかけられない、でもやらなきゃいけない!」という厄介な位置づけになりつつあるのです。本書はそのランドスケープに非常に合致した良書だと思いました。

本書の特徴を活かして「完全に理解」して、現場で「使い倒し」ましょう。このステップをやりきった時に本来の価値が出ると思います。